FI-CORD 101S

イギリスのFI-CORDというブランドの超小型テープレコーダーで、60年代初頭のもの。オープンリールでは最小の1号リール仕様、キャプスタンドライブです。早送り・巻き戻しが可能です。
アルミ製で精巧に作られており、こんなに小さいのに重さが1kg弱あります。今まで入手した他の小型テープレコーダーと比較すると全体のオーラがなんか違う。


実はこのレコーダー、設計と製造はステラボックス(Stellavox)とのことです。ステラボックスと言えばナグラと肩を並べるスイスのオープンリールテープレコーダーの有名メーカー。
ステンレス製のヘッドカバーに「MADE IN SWITZERLAND」と刻印されており、スイス製らしくまるで時計のような造りでネジ類は内部まですべてマイナスネジが使用されています。 構造も合理的でアルミモノコック構造とでもいいましょうか、頑丈なアルミ板に駆動メカや各部品を表側からネジで固定しています。


 表側上部の「FAST ERASE」と書かれている所にテープを掛けて早送りをすると、文字通り高速消去出来ます(おそらく永久磁石)。  また、小型のレコーダーでは珍しくテープカウンターを装備しておりその横にはパイロットランプが付いています。操作は横にある三つのボタンで、早送り・巻き戻し・再生・録音が出来ます。右下にある大きな丸い物体はマイクロフォン兼スピーカーで、録音時にマイクロフォン、再生時にはスピーカーの役目をします。 外部接続にもその機能は生かされており、イヤホン等を接続すると同じようにマイクロフォン兼イヤホンとして使用できます。ほんと合理的です。



 2つの基板で構成されており、写真中央にあるのがモーター制御用、左側には駆動ボタンのバーの下に録再アンプ用の基板があります。 中央下には真鍮製と思われる立派なフライホールがあり、右にあるモーターからゴムベルトを介してキャプスタンやリールを駆動しています。この駆動方法は18年後の初代ウォークマンのものにそっくりです。
 上にある銀色の細長いものはアルミ製の電池ケースで、単三電池が2個入り、スクリューキャップを開けて電池を出し入れ出来ます(懐中電灯のような構造)本体内部は結構ぎゅうぎゅう詰めですが、非常に合理的な配置です。全体の大きさの割にモーターとフライホイールの大きいこと!


 入手した時は満足にテープが走行せずにすごい回転ムラでした。洗浄を兼ねて分解し駆動部に注油したり、モーター制御用のTr等あれこれ調べましたが原因判らず。途方に暮れながら駆動ベルトをよーく見ると丸ベルトが架かっている。ベルトの走行は不安定であっち行ったりこっち行ったり。こんな立派なフライホイールに丸ベルトはちょっと変だなと思い、幅3mmの平ベルトに交換したところ正常に戻り一件落着。平ベルトはヤフオクに各サイズを出品している方から購入しました。


下の写真を見ると、いかにもステラボックス製ものだなという感じがします。テープの走行方向は右から左と普通とは逆で、フルトラックモノラルです。リールをひっくり返しての使用できません、逆再生になります。
外部スピーカーユニットが別ユニットとして存在し、本体とドッキングさせて大きな音で聴くことが出来るようです。残念ながら私は持っていません。このレコーダーは最近アメリカで入手した物ですが、当時日本では発売されなかったようです。もし発売したらかなり高価だったかもしれません。
 このレコーダーを見ると当時におけるステラボックスやナグラをはじめとするスイスの技術とデザインセンスは、同時代の日本製とは別次元です。アメリカのスミソニアン博物館に所蔵されているらしい。まさにこのレコーダーは宝石のようなレコーダーという感じがします。








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