SONY TC-K60

1978年頃にSONYが発売したカセットデッキ。特徴は縦型の液晶レベルメーターを装備しているところ。針のレベルメーターからFLディスプレイ(蛍光表示管)のレベルメーターに移行する間に発売されたもので、他にTC-K88、TC-K80、TC-K8Bの計4機種しか液晶メーターは当時採用されなかったと思います。

本当はTC-K88が欲しかったのですが、オークションでも異常に高価。この機種は唯一の縦型レベルメーターなのと、整備が簡単そうなのでジャンク品を安くゲットしました(千円しなかった)。ジャンク品とのことで電源コードもブッツリ切られてましたが、傷もほとんど無くとてもきれい。普通に再生出来ました。


本体上部に通気用のスリットが無いので内部にホコリがほとんどついていない。ベルト類は張りがあり、まだまだ使える模様。メカ部分を取り出して固くなったグリスを拭き取り、新しいシリコングリスを塗った。メンテは割とやりやすいです。



BSLグリーンモーターもばらしてシャフトに少量オイルを塗布。



ヘッドはF&F(フェライトアンドフェライト)ヘッドを採用しているので、摩耗はほとんど無い。古いデッキはヘッドの摩耗が気になり、あまり使いたく無いのですが、これは普通にガンガン使えそう。アカイのGXヘッド搭載機もそうですよね。



レベルメーターの液晶部分は経年劣化のためか薄いので、修理できるか調べてみると、どうやらこれは偏光フィルムの劣化らしい。このデッキは液晶メーターが命ですから、修理しましょう。



液晶ユニットは中に蛍光灯が入っていて、バックから照明しています。取り出しは割と簡単。
最前面の偏光フィルムは4個のネジを外せば簡単に交換出来ましたが、それだけの交換では全然変わらなかった。どうやらガラス製の表示部を2枚の偏光フィルムでサンドイッチしているらしく、偏光フィルムがもう一枚中にあるらしい。


ドキドキしながら分解していく。ここで変な力を加えてガラスを割ってしまうと全てがパーです。変な力を加えないようくれぐれも慎重に。



慎重にばらしていくともう一枚の偏光フィルムに到達、最前面の偏光フィルムとの角度を調整しながら切り出し、古いフィルムの上に重ねて入れた。



元に戻し試運転、だいぶ濃くなりました、成功です。斜め上の方から見ると、ちょっとブルー色。この機種は割と液晶部分の分解はしやすいみたいですが、他の方のブログを見るとTC-K8Bは大変みたいです。
 この液晶メーターってずっと見入ってしまいますね。反応が早く、セグメントの数が結構多いのでFLディスプレイのメーターとは違った独特の雰囲気があります。バックの蛍光灯照明がこれまたいいです。



テストテープを使ってテープスピード・ヘッドアジマス・再生レベル・録音レベル等を調整。
フェリクロームテープ対応なので、ちょうど同じ78年頃に録音したDENONのDX5をかけてみる。入っているのは「LED ZEPPELIN IV」で、録音ソースはもちろんレコード。テープの劣化なのかハイがかなり落ちている印象。それでも高校生の時に録音したこのテープを感慨深く聴いてしまいました。どうもフェリクロームテープは劣化しやすいらしい。試しにノーマルのテープをかけて録音再生したら、結構いい音でびっくり。(ちなみにZEPは今でもよく聴いています)



SONY製品のデザインが優れていて一番カッコイイ70年代後半の製品。ピアノ式ボタンでもいいんです、縦型液晶メーターとアルミ削り出しのツマミさえあれば。電源スイッチもひねるタイプでかっこいい、押しボタン式を見慣れた今では逆に新鮮です。惜しむらくはメタル対応では無いことですが、ノーマルテープをまったり聴くにはいいです。常用デッキになりそうなので、暇なときにトランジスターやコンデンサーを交換しようと思います。同じ液晶の上位モデルが欲しくなってきた、その前に今、SONYのアンプTA-F6Bを狙っています。
なんかブログみたいになってきたな。








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