SONY TC-100 (マガジンマチック100)

ソニーのカセットテープレコーダー1号機。発売は1966年11月で当時の価格は24,800円。
レイアウトは世界初のカセットテープレコーダーであるフィリップス社のEL3300と同じ縦長レイアウトで、外ケースの上半分は厚みのあるアルミニウム製です。当時からSONYのデザインは他と違いますね。



操作ボタンはピアノ式を採用して、テープが飛び出すイジェクト方式も当時は評判が良かったようです。このレコーダの第一印象は見た目より意外に重いことです。しかし、発売当時はオープンリールテープレコーダーが主流でしたので、約半分の重さ(1.75kg)に軽量化したということは画期的だったのではないかと思います。
取り扱い説明書を見ると、まだカセットテープという表現はしておらず、マガジンテープと表現しています。
AC100Vあるいは単2乾電池4本で作動。




早送りと巻き戻しのボタンはロックしませんので少し不便。モニター用外部出力と外部入力
。リモート付きマイクジャックが正面にあります。
丸い小さなバッテリー残量計兼録音レベルメータを装備。



裏蓋を開けて中を見ると、限られたスペースにパーツを詰め込んだ苦労が伺えます。電源用と思われる大きめのコンデンサー4個を空きスペースにレイアウトしたのが分かります。駆動用ゴムベルトが伸びきっており、手持ちのものと交換。内部の軽い清掃と駆動部分の給油しました。


基板を見ると、古いゲルマニウムトランジスタ2SB379を発見。40年以上前のパーツたち



SONY初のカセット用録再ヘッド


このモデルが発売されたのが、フィリップス社がコンパクトカセットの規格を無償公開した年(1965)の翌年1966年ですが、数ヶ月前にアイワからTP-707Pが発売されており、惜しくも日本最初のカセットテープレコーダーとはなりませんでした。実際は2年前の1964年にアイワから「マガジン50」というカセットにとてもよく似たテープ規格のレコーダーTP-707が発売されました。これは、フィリップス社のコンパクトカセットと同サイズでしたが、テープ幅がオープンリールと同じ1/4インチで互換性がありませんでした。翌1965年にフィリップス社がコンパクトカセットの規格を無償公開したのを機にアイワはこれを作り直し、モデルナンバーの最後に”P”(PhillipsのP)を付けてフィリップス社規格のコンパクトカセットテープレコーダーTP-707Pを発売したのだと考えられます。
 いずれにしても、コンパクトカセットの規格を世界に無償公開させたのは、当時のSONY社長である大賀さんであったことは有名な話で、カセットの普及に大きな功績を残しています。



後継機のTC-100A。外見の違いはカセットの蓋で見分けがつき、こちらは全体が透明になっています。内蔵マイクやカウンターを装備したTC-110BやTC-100Fなど多数あり全体が把握出来ていません。







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