NEC A-10 TypeⅢ
NECの名アンプA-10の3代目TypeⅢです。初代A-10は生産台数が少なく、整備されたものは当時の販売価格と同じくらいします。初代A-10の迫力とエネルギー感は別格として、ネットで調べてみるとこの3代目がバランスがいいとのこと。2代目でおとなしくなった初代のエネルギー感がこの3代目で少し戻ったとのことで、 初代A-10と2代目A-10の中間くらいの音質という感じです。重量25kgとかなり重いアンプで初代から最後の4代目までだんだん重くなっています。フロントのノブ類はアルミ無垢で足は一個250gもある焼結合金製で、足だけで合計1kgある物量投入のアンプです。オークションで程度の良い動作品を見つけて落札しました。到着直後スイッチを入れると、リレーの音がしてプロテクト解除。スピーカーを繋いで視聴すると硬質な迫力のある音です。トーンコントロールは無く、左右のバランスはフロント左下にある左右独立したパワーアンプ入力レベルで調整します。パワーアンプとしての使い方もありのようです。パワーアンプに入力セレクターとボリュームをつけたようなプリメインアンプです。
軽いメンテと掃除をやります。ボンネットを開けると、巨大なトランスと平滑コンデンサーが見えます。T型のフレームがトランスをシャーシーにガッチリと固定されており、分解を拒んでいるようです。
数本のネジをはずしT型のフレームをはずしました。このアンプはネジが多く、ここまで何本はずしたか忘れるほど。平滑コンデンサーの頭は膨らんで無く、ほかの部品も劣化は少ないようなので今回はコンデンサー類は全く交換していません。下手に触って壊したら元も子もないので。
とりあえずスピーカーリレーを同じ規格のオムロン製に交換。足が2本多かったので折って装着。ついていたのはDEC製のもので中をあけてみたら接点がカーボンがうっすらとついていました。
底板をはずしてみる。これまたネジが多い。8個のパワートランジスタが整然と並んでいます。一度整備されているようで、あっちこち観察しましたが特に悪いところはなさそうです。
パワートランジスターのシリコングリースが新しいのでおそらく一度塗り直してあるようです。
バイアス電流の調整をしました。エミッタ抵抗の上に突き出た端子間の電圧を測定し、8.5mVに調整した。A-10Ⅱの規定値が7mvだそうなのでまあこれぐらいでしょう。少し高めに設定しましたが、5時間くらいしてボンネット上部がほんのり暖かくなる程度です。
ボリュームや切り替えスイッチの洗浄をはじめ全体的な掃除を行って終了。フロントパネルは2重になっており凝った作りです。アルミ無垢のツマミは六角ネジで締めるタイプ。さらにこのツマミが9個ともまったく同じ物でこれ以外にツマミが無いことがすごいです。ボリュームは中央にあり、左右左右対称にノブ類が配置されいます。シンプルさの中に力強さを感じるとても優れたデザインと思います。私はこのアンプを見るとあの超弩級アンプ「アンプジラ」を連想します。もしかしてお手本にしたのでしょうか。
ハードロックやジャズを聴くのに適しているアンプという感じ。Van Halenのファーストアルバムなんかいいですね、また、サックスの音なんかもバリバリ鳴ります。発売されて25年以上経つアンプですが、まったく色あせていません。今でもとても人気のあるアンプで愛用している方が結構いるみたいですね。この頃のNECって物量投入したモデルをいろいろ出しています。いつかは初代A-10が欲しいな。
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