フォノイコライザー付きST管ラインアンプ

 某オークションで動作未確認のラインアンプを落札しました。ST管の76とGT管6J5を使用したアンプですが、 6J5は付いてないとのことだったのであらかじめ注文していた6J5を差して動作確認したところ、全く鳴らず。 動作未確認とのことでしたが、ほのかな期待をしていたのがまちがいでした。ヒーターの灯りがとても暗かったので 電圧を測ってみると3V程度しか出ていません。うーんこれは根本的に組み直さないといけないかも。電源トランスはシカゴ製、チョークコイルはコリンズがついています。木の枠は柿の木を使った いい感じのものです、これも綺麗に仕上げて立派にしたいと思います。


 鳴らないラインアンプ。最初から左の部分が空いていていてここはどうにかしないといけない。写真は整流管を差していません。
 とは言え自分のスキルでは新たに回路を組み直すことが出来ないので、真空管アンプの修理や回路設計の名人にお願いすることにしました。
相談の結果、球はST管でそろえて電源トランスの仕様上ダイオードでの整流ということになりました。
 出来上がったアンプを見ると、76と6ZDH3Aのクラシックな感じがいいです。早速パワーアンプに繋いで聴いてみたところ、いい音で鳴りました。 まったりと、いつまでも音楽を聴いていたくなるような音です。ぼけた感じではなく音のパンチが増してベースの弦をはじく音がより リアルになりました。


1段目が76、2段目が6ZDH3Aの直結回路です。6ZDH3Aは真空管ラジオ全盛期によく使用されていた古いラジオ球で、検波と低周波増幅が 組み込まれている複合管です。

 この球をオーディオアンプに使用するのは駄目だという見方もありますが、私は十分使える球だと思います。 事実、300Bや2A3の前段に使用されている方も結構います。この球は日本でしか製造されておらず未使用品はあまり残っていません。結果的に中古を使用することに なりますが製造が古いためにガザゴソというノイズが発生するものが多く、このアンプのものも1本はノイズが発生していました。どうやらこの球、ノイズが出やすいらしく何本かオークションで 中古品を落札して試しましたが5本目くらいでやっとノイズ無しの球に当たりました。もともとラジオに使われていた物ですから仕方がないかもしれませんね。
結果的にノイズが出ない物は2本ともマツダ(東芝)の中期の球でした。いずれにしても未使用品も欲しいですね。
 このアンプの左側は真空管用に4つの穴が開いていて見た目がとても悪いです。当初は簡単にアルミ板で蓋をしようと思いましたが、フォノイコライザ-を増設することを 思い立ち、ぺるけ様のサイトで12AX7を使ったすばらしいフォノイコライザーの回路がありましたのでそれを作ることにしました。
12AX7は手持ちにあったので、あとの足りない部品をネットで調達し製作。


 球が増えたために全ヒーターの電圧が5.5V程に落ちたのでドロップ抵抗の値を調整して規定の6.3Vに収めました。製作は問題なく進みましたが電源を入れると盛大なハムが発生。 いろいろ確認するとどうやらアース位置が悪いようだった。ぺるけ様のサイトでは「トランス付近でのアースはしないこと」とありましたので、 アース位置を変えるとピタっとハムが無くなりました。音は言わずもがな最高です、ぺるけ様に感謝。


 パネル手前が寂しかったのでプレート電圧監視用の電圧計を2個設置。個人的に真空管アンプにはVUメーターは似合わないと思っています。最初は電流計を付けたのですが ほとんど振れなかったので電圧計にしました。土台のアルミ板はシルバーのハンマートーン塗装にしました。


 無塗装の木枠は当初オイルフィニッシュにしようと思いましたが、自分が好きなカシュー仕上げにしました。オイルステインで少し着色したあと、カシュー塗料を 4回塗りました。私はカシュー塗料独特の深みのある色と艶が好きです。


前からパイロットアンプには変にこだわりがあって結局このタイプに落ち着きました。最初から写真で交換した過程が解ります。職場にあった古い分析機器のものです。


フォノイコライザー用の12AX7。シールド買うのを忘れてしまいました、付けなければ。


完成しました。機械的なところと木の質感が調和してますね、音もすばらしい。左側にあるコンデンサーはラインアウトの直流カット用オイルコンです。 空間が開いていたのでここに設置しました。真空管は76がシルバニア、6ZDH3Aがマツダ、12AX7はフィリップス。



レコード試聴中。


整流管を使ってないダイオード整流回路ですので、電源投入直後もろに過電圧がプレートと2段目グリッドにかかります。オムロンの遅延リレーを使い30秒程度遅らせてB電源を 送るようにしました。もっといい方法を探してみます。



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